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安くて美味しい立ち飲み『鞠屋まりや』の常連客によるブログです。

立ち飲み屋物語第2章(1)

2012 - 10/24 [Wed] - 12:39

O氏はいかにして立ち飲み屋を立ち上げたのか


 創業の基本条件

 さっそくO氏は、いかにして立ち飲み屋なるものを立ち上げることができるか、について考えはじめた。
  まず資金がいくらかかるのか?そのメドが立つのか?手元にはほとんどない。借りるあてがあるか。親戚は無理だろう。銀行が貸してくれる見込みはなく 退職金の前借りしかない。全額貸してくれるのか。何割ぐらいあてにできるだろう。
 そのまえに、いくらかかるのか。物件によるだろう。物件はどこでやるか、場所しだいでピンキリだろう。
 かれは、営業の外回りを利用して繁華街を物色しはじめた。

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立ち飲み屋物語 第2章

2012 - 08/16 [Thu] - 04:54

B級サラリーマンO氏はいかにして立ち飲み屋を立ち上げたのか(その1)
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 思いつくと生一本な性格の彼は、営業の外回りを利用して、いろいろな繁華街を歩きはじめた。地元の新橋はもとより神田、上野、川崎、横浜、上大岡、大船・・・。どうやら路線電車が複数交差するターミナル駅がいいらしい。
 しかし、そういう場所は家賃が高い。保証金もばかにならない。既存の店を居抜きで買うことはできないか。あの男の店はどうなのか。いや、どうも奥まりすぎていたな。現在使われていないような出物はなかろうか。広さはせいぜい10坪どまりだろう。店員は多くても2人までだ。お客も10人も入れば十分としよう。
 資金はどのくらいかかるだろうか。退職金は前借りできるだろうか。厨房にはどんな調理器具が必要なのか。
 まてよ、そのまえに自分はどんなお店を作りたいと思っているのか。それが一番大切なことなのだ。漠然とだが、彼の念頭にはいつもあったらいいなという店のイメージがあった。もちろん自分に都合のよい、身勝手な代物ではあったが。
その「こんな店があったらいいな」と思ってきた内容を具体的に煮詰めなければならない。
 まず第1に徹底して「安い」ことだ。ビール大瓶400円、しかも、キリン、アサヒ、サッポロを揃えること、間違ってもサントリーのみで低価格ということはしたくない。
 次は「つまみ」がすこぶるおいしいことだ。立ち飲みに不可欠のモツ煮込み、牛すじ、しおから、しめさば、などは自家製にしなければならない。ほかの店がまねできない水準を確保しなければならない。
 それに毎日の日替わりメニューを提供したい。これはかなり難題だ。人手がかかる。その質も問われる。
その上スタッフの適正性が求められる。これも難しい問題だ。
 さらに店の雰囲気は、庶民的なサロンのようであってほしい。この点はお客さまとのコラボレーションでもあろう。 
 これらのことをぼんやり考えながら、彼は実行に移していった。

立ち飲み屋物語 第1章 B級サラリーマンO氏の重大なる決意について(その3)

2012 - 08/16 [Thu] - 04:02

その時、不意に初老の客が話しかけてきた。
「いつもお見かけしていますが、どうですか、私のいきつけの店に付き合っていただきませんか、」
「はい」
 彼はなぜ即座にその提案を受け入れたのか、いまもってわからない。割り勘だったら、懐具合は大丈夫か。どんな店で、どのくらい高いのか、安いのか。近くなのか、遠いのか。それよりも、なぜよりによって誘われたのか。いまとなっては疑念はいくつも湧いてくるのだが、なぜあのときそれが思い浮かばなかったのか。まあどうにかなるだろう、といういつもの楽観主義がその時の行動を保証していたのかもしれない。なんの保証にもならないにもかかわらず。人生とはいつも既定の路線ばかりをいくものではない。
 その店は歩いて5分ほどの新橋の奥のいりくんだ路地にあった。
 小さな、5~6人でいっぱいになる立ち飲み方式の店だった。なにを飲んだのか、どんな店員がいたのか、店の造作がどうだったのか、まるで思い出せない。2,3杯飲んで用事を思い出したようなふりをして出たことはよく覚えている。出がけに「お勘定は?」といって懐に手をやったとき
「今日のところは私が」といってその男が彼を店の外に押し出したのである。もう一つ不思議なことがあった。男は「じゃあ!」といって勘定を精算せずに共に店を出たのだった。んっ!?・・・。
 そのあとで男がはいた言葉は衝撃的であった。
「この店は、わたしの店なんですよ」
 その上男はさらに衝撃的な台詞をいった。
「もうすぐ閉じるのですがね」

 男と別れて駅へ向かう途中、なぜか彼ははげしく動悸がしていた。あの店を買い取ってくれないか、という思惑で誘われたのではないか?店での会話(覚えてないが)で、無理とわかって放免されたのではないか?
そのときだった。突然ひとつの考えが彼を襲ったのは。
「そうだ!立ち飲み屋をやろう!」
 まったく予想もしなかった思いが、どうして天から降ってきたのか。これもいまもって分からない。
 たしかなことは、このひらめきが、とてつもなく輝いてみえたことであった。自分の将来はこれしかない! 
 彼は郊外の我が家に帰るまで、一種の興奮状態にあった。夜空は満天の星でかがやいていた、ようにみえた。

立ち飲み屋物語 第1章 B級サラリーマンO氏の重大なる決意について{2}

2012 - 07/16 [Mon] - 22:43

 ビール大瓶をかなりはやいペースで飲みすすむうちに、O氏は仕事の疲れもその日のいやなこともうすれてゆき、われこそは、会社になくてはならない存在であるという確信がわいてくる。近い将来かならずや経営幹部の末席をけがす人材にほかならないとつよく思われてくる。
 いまはまだ十分なる評価をうけていないが、かならずや近い将来おおきな実績をあげて、高い評価をうけて同僚のなかから抜擢されて・・・。
 しかし、頭のどこかでは、かすかに酔っていない部分があり、そんなおおきな実績があげられるはずのないこともわかっているのだ。アーヤダヤダ。
 もう一杯飲もうかな。まてよ、ポケットの中身が淋しい。ビールの中瓶にしておくか。
 給料日まえなので、懐具合がよくないことは百も承知の助だ。しかし、このヤダヤダ感を払拭して、とにもかくにも仕事モードを吹き飛ばし、むかし活躍したドリフターズの植木等のように「パァ!」と気分を明るくして家路につくためにはもう一本大瓶にしたいのだが・・・。その一本で「精神のビッグバン]と彼がひそかによんでいるこころの高揚がやってくることは、長年の感覚でなんとなく判っている。
 「よし、ビール大もう一本!」
 今日は特別だ。ちょっとした聞き間違えでお得意さまにいやな感じをあたえてしまった。あのお得意さまに謝ったつもりで、この不始末を水に流すつもりで追加の一本を胃のなかに流し入れよう。
 いや、いつの世にも慧眼の士はいるものだ。かならずやA級のところから引き抜きがくるはづだ。
 ビールを一本飲み終えるころには、彼の想像力は頭の上を漫画でよく見かける星のようにかけまわっている。
 これぞ生きることの快味にあらずしてなにをかいわんや!人生の至福にあらざらんや!
 
 彼は毎日の立ち飲み代は、800円までと決めている。まちがっても1000円を超えてはならない。
 彼の月の小遣いは5万円で800X30日=24,000円{これ計算違いではない。土日も彼は家の近くの立ち飲み屋に、夕方になると通っているのだ。}、夕刊ゲンダイ120エンX20日=2400円、散髪代1600円、携帯電話代がどんなにケチっても8、000円、{これ会社でどうにかならんかいな!}
 残り14,000円、曲がりなりにも肩書きがついているのだから、部下との付き合い、不意の葬祭の支出、同窓会や旧友との集まりの会費・・・いろいろでてくる。そうそうJCBカードの会費とか自転車の駅前駐輪場の代金
も含まれる。たまにはブックオフで105円の文庫本をも買いたい。朝ドトールで200円のコーヒーを飲むこともある。
 タバコは10年前に断固やめた。これは、一大決心であった。彼の自慢できる、ということは唯一の優越感を抱きうる、つまり彼の言うところの「意思の強さの証明」であった。実際のところ経済的な動機がほとんどを占めていたのだが、先輩の禁煙者からタバコの自販機は「裸身のマリリン・モンロウが流し目で誘惑しているようなものだ」といわれて、それを退けたオレは、男のなかの男なのだ、自制心と克己心の極地をオレはゆく!という自負がもりもり湧いている気配だ。しかし、本音をいえば、よくよく我が身に問いかけてタバコよりも酒を選択した、というのが真実に近いのではなかろうか。彼はちょくちょくこんな言葉を発する。
 「一日にいったい何本のタバコがほんとうにおいしいと感ぜられるだろうか」
 むろん、彼が禁煙の自慢話の折にかならず口にのぼせる台詞なのではあるが。この発見こそは、彼の近年の最大の発見であって、それが同時に彼の禁煙の最大の推進力となったのであった。


 立ち飲み屋物語 第1章 B級サラリーマンO氏の重大なる決意について{1}

2012 - 07/14 [Sat] - 01:42

 ある日いつものように、無類の酒ずきのB級サラリーマンO氏は、会社をひけるとすぐに、ひとりでそそくさと新橋に出て、立ち飲み屋「あじろ」の暖簾をくぐった。
「らっしやぁーい」
 体育会系のオニイサン2人が野太く威勢のいい声をかぶせてくる。
「びんビールに煮込みとうふっ」
 オニイサンのするどい視線を避けながら、伏目がちにつぶやく。 
 [どうしていつもオドオドして注文しちゃうんだろうアーヤダヤダ}
 かれはそんな自分が好きになれない。
 氷の混ざった水槽からビールがすくい上げられ、すこし汚れたタオルで水気が拭われ、グラスとともに突き出される。さぁ飲みなという感じで、その迫力にけおされつつ、ちょっと不衛生だなという思いがかすめるが、まっいいかとなだめてビールをそそぐ。かれはそんなタジタジした自分がきらいだった。この軽い自己嫌悪のせいで、せっかくのはじめのいっぱいの味がいささか落ちるきがしないでもない。
 {なぜ飲ませていただいているって姿勢になるんだろうアーヤダヤダ}
 しかしぐうゥっとのみほした途端、そんなイジイジした思いは一気に吹き飛んで、たちまち「世界はかくいい気分にてあるべし」のこころにおそわれ、「このためにこそ、わが命かがやけり」と満ち足り、「これありてこそ、今日ひと日の幸福ここに極まれり」とその日の疲れもいやなことも泡のように消え去るのだった。もっとも頭の奥底によどんでいる暗い不安はのこったままではあったが・・・。
彼はもうすぐ60歳、次なる人生の設計をしなければならない時期をむかえていた。このままいって会社で今以上の肩書きを得られそうもない。不況にあえいでいる会社が退職後のポストを用意してくれる気遣いはさらにない。
 彼は天性の楽天家だったので、この問題をさほど深刻には考えていなかった。どうにかなるさ、それが彼のもう一つの口癖だった。その問題をぐずぐず考えることにも、アーヤダヤダだったのである。
 彼の家族は、なんの変哲もない平凡な奥方とこれまた平凡そのものの男女2人の子供たちで構成されている。
 彼自身が平凡を絵に描いたような人柄であったから、DNA的に当然の成り行きであった。彼もそれをなんの不満も不信も抱かずに受け入れていた。むしろ、平凡でありつづけることは、ある意味で偉大なることである、とさえ思っているふしがあった。彼の物事にさしてこだわらない性向は、人よりも抜きん出て成果を得ようとする意思の希薄さと同居していた。
 彼は日々の持ち時間を大切に考えていた。この時、この一杯、それは大切なつかのまのひとときであった。だからどこの店を選ぶかということにはわりとこだわった。平凡のなかのささやかなこだわりが、それよりもっと大きな平凡の海にたゆたっていた。
 琥珀色の液体をからになったグラスにさらに注ぐ。天井からのスポットライトを受けてこまかな気泡がたちのぼるちいさな光景が美しい。
 ビールの泡をかるく息で吹き飛ばしてから一気に喉へ流しこんだ。頭のなかにもやもやしていた不明瞭なものがみるみる晴れて行く.フウゥっ!こまかいことは消え去ってゆく。生きていることへの感謝、健康であることの有り難み、今日の仕事の充足感、すべてが幸福な思いにつながる。
 

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プロフィール

zimot.net.sample

大船駅東口から徒歩4分、仲通り商店街なかほど、鈴木水産先の路地を左に入ると掲載写真の看板が見える。安くて美味しく、立ち飲みならではの和気あいあいと「ほっと ひといき」できる店です。

お品書き

おおふなまりや鞠屋目印【飲み物】
びんビール(大)400円
びんビール(中)350円
生ビール(中)350円
生ビール(小)290円
黒ビール(小)290円
宮正宗290円
高清水(辛口)270円
八海山(本醸造)370円
獺祭(大吟醸)400円
ホッピーセット280円
ホッピー120円 中160円
ウーロンわり230円
ハイサワー230円
焼酎(ロック・水わり)
200円
焼酎久米仙・泡盛280円
焼酎千亀女・芋290円
焼酎いいちこ・麦240円
焼酎玄庵・そば240円
抹茶わり250円
生レモンわり240円
生レモンサワー270円
生グレープサワー280円
トマトわり220円
かぼすわり220円
梅酒サワー280円
梅酒ロック250円
赤ワイン250円
ワインサワー200円
ウイスキーS170円
角ハイボール200円

【蕎麦・うどん】
そば・うどん(温)280円
そば・うどん(冷)300円
トッピングかきあげ100円

【一般】
もつ煮とうふ250円
牛すじうま煮250円
くじらベーコン300円
トマト200円
だし巻玉子200円
いわし丸干200円
あつあげ180円
しおから(減塩)180円
いたわさ150円
チーズクラッカー120円
やっこ(冷・温)100円
しらすおろし100円
ロースハム焼180円
さば缶みそバター190円
自家製ぎょうざ200円
イカ串焼190円
梅干し100円
らっきょう100円

【やきとり・とん】
ぶたバラ100円
かしら100円
レバー・皮80円
もも・ねぎま80円